【熱性けいれん】今まで生きてきて一番恐ろしい目にあいました。
先日、ちょっと遠方に住んでいる妹が1歳4か月の長男を連れて帰って来ていました。(旦那さんは出張中)
僕は1歳4か月の甥っ子のハーチン(仮名)がかわいくて仕方がありません。
あまりにかわいくていてもたってもいられず絵を描いたくらいです。
ハーチンは僕のことを「こいつは外に連れ出してくれるヤツ」という認識らしく、実家に来て僕を見つけると
抱っこしろ⇒(玄関の方を指さして)外に行け。
と、外に連れ出してもらおうとします。(1歳4か月なのでまだしゃべれません)
なかなかハーチンに抗えない僕は仰せの通りに抱っこして外に連れ出すか、靴を履かせて近所を散歩したりしてました。
家族一同親戚一同にとってハーチンは
いとしさの塊。
愛の象徴のようなもの。
と言っても過言ではないくらい皆から愛されている存在なのです。
二人で車にのっておでかけ
先日妹が帰って来ていたときに妹は自分の車を車検に出したのでチャイルドシートを実家の車の方に一時的に載せ替えていました。
「あれ?うちの車にチャイルドシートがついてる」
そのことを知った僕は普段はハーチンを外に連れ出すときは近所を散歩するだけだったけど、せっかくチャイルドシートもついていることだし 今回は車で15分ほどの距離にある運動公園に連れて行ってあげようと考えました。
そこだったら敷地内は広くてのびのび散歩が出来ますし、すべり台などの遊具もたくさんあるのできっとハーチンも喜ぶだろうと思ったのです。
そしていつも通りハーチンが「外に連れ出せ」と外出をせがんできたので妹からチャイルドシートの使い方を教えてもらってからハーチンと二人で運動公園に車で出かけました。
運動公園に到着した僕たちは散歩をしたり遊具のすべり台で遊んだりして、ひとしきりたのしい時間を過ごしました。
しばらく遊んでいるとハーチンが頻繁に抱っこをせがむようになったので
「もう疲れたんだろうな」と判断した僕は来た時と同様にハーチンをチャイルドシートに乗せて自宅へ帰ることにしました。
突然のけいれん
運動公園を出てすぐ車を走らせながらルームミラーで後部座席に据えてあるチャイルドシートに座ったハーチンを確認しましたがおとなしく座って窓の外を眺めているようでした。
しかし5分くらい車を走らせたところでいきなり後ろからハーチンの
「うわあああああああああああああああ!!!!」
という叫び声が車内に響きわたりました。
まるで恐ろしいお化けかバケモノでも見たかのような悲鳴にも似た叫び声。
たまたま信号待ちだったので後ろを振り返るとチャイルドシートに座ったハーチンが顔を真っ赤にして手を固く握って硬直し、小刻みに震えています。
「もしかして吐くのか?車に酔ったのか?」
一瞬そう思いました。
「大丈夫かハーチン!」と声をかけ、顔をよく見てみると白目をむいてけいれんして口の端からは泡のようなものが少し出ているのが分かりました。
これはまずい!!!!
慌てて車を止めてハーチンをチャイルドシートから引きはがして抱きかかえてげっぷをさせるような体制で背中を必死でさすります。
顔を見ると唇が紫色になっていっているようで、「あっこれはチアノーゼ(酸欠状態みたいなもの?)なんじゃないか」とますます焦ってきます。
なかばパニックになりながらも妹に携帯で電話して容体と今いる場所を伝えると携帯の電池がちょど切れてしまいました。
ハーチンはのけ反ったままで白目をむいて息をしているのかどうかも分からない状態です。
僕は完全に恐怖の中でパニック状態に陥りました。
ああこのままだとこの子が死んでしまうかもしれないどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ救急車呼ぶべきか人工呼吸しないといけないのか吐しゃ物で喉が詰まっていないか口の中に手を突っ込んで確かめないといけないのかどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよこの子がこのまま死んでしまったら妹たちにどう申し開きをしたらいいのか償いきれないあまりにも罪深くて償いきれないこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい、正しい対処法をしないと殺してしまう、もしこの対処法が間違っていたらこの子を殺してしまうことになってしまう!!!!
ハーチンたのむから息をして死なないで息をしてお願いだから!!!!!!!
泣き叫びたくなる感情を必死に抑えて死に物狂いでハーチンの背中をさすってゆすって声をかけます。
すると5分くらいしてふっと気絶したようにハーチンの意識がなくなりました。
「ハーチン!ハーチン!ハーチン!」
声をかけて揺さぶるとうっすらと目を開けます。どうやら眠っているようです。
顔色も血色が戻ってきたようなので、とりあえず自宅まではあと10分もかからないので急いでチャイルドシートに乗せて自宅まで帰ることにしました。
車を出して間もなくバックミラーを見ると後続車に妹の乗った車が確認できたのでちょうど入れちがいで到着したのだなと思いました。
信号待ちになるたびにハーチンに声をかけゆすってみて息をしているのかどうか確認します。
うっすら目を開けるので眠ってはいるようなのですが不安でたまりません。
妹とほぼ同時に自宅に到着し、急いでチャイルドシートからハーチンを降ろして妹に託します。
ハーチンは声をかけるとうっすら目を開けて反応するのでどうやら眠っているようです。
体温計で熱を測ると40度近い高熱が出ています。
妹はすぐさまかかりつけの病院に電話をして相談します。
今のところ高熱を除けば顔色も悪くなく、症状は落ち着いていますが大事を取って近くの総合病院にハーチンを連れていくことにしました。
小児科で診察結果
小児科で診断してもらった結果、高熱の直接の原因は不明だけどおそらくは「熱性けいれん」だろうとのことでした。
熱性けいれんとは?
発熱に伴って起きるけいれんのことを熱性けいれんと呼びます。発熱は38℃以上で、生後6ヶ月から6歳くらいまでの乳幼児に多く見られます。意識障害を起こすこともありますが、原因がはっきりわかっている脳炎・脳出血・てんかんとは区別されています。けいれんは突然起こることが多く、身体を硬くして手足がガタガタ震えるものです。目は上向きになり白目をむき、意識障害(呼びかけに反応せず、顔色が悪くなる)を起こしたりするので、初めてお子さんがけいれんを起こすとパニックを起こしてしまう人もいます。ですが、生後6ヶ月から6歳くらいまでの子供100人に数人起きるもので、珍しい症状ではありません。また、熱性けいれんで後遺症が残ったり、死亡してしまったりすることはほとんどありません。
子供に見られる熱性けいれんってどんな症状? | いしゃまちより
よくよく聞くとハーチンはこれまで熱性けいれんを二回ほど発症していてハーチンのお父さんも子供のころ熱性けいれんの症状が出ていたとのこと。
かかりつけの病院でも対応してくれていますが念のため座薬を二種類ほど処方してもらって病院から帰りました。
病院から帰ってからのハーチンは疲れたのかよく眠っています。
僕はその寝顔を見ながら少しだけホッとすると同時に本当に息をしているのか少しだけ不安になってハーチンがちょっとした身動きをするまでその寝顔を見続けていました。
これまでの人生での最大級の恐怖
今回のことは僕にとって今まで生きてきた中で最も衝撃的で恐ろしいものでした。
小さな命が自分の目の前で消えていくかもしれない恐怖。
正しい対処法が分からない無知に対しての恐怖。
二人だけで出かけてしまった後悔。
それらのことがないまぜになって僕のまわりにまとわりついて離れず、真綿で首を絞めるような苦しさでじわじわと僕の心を締め付けていくようなそんな痛みのようなものを感じていました。
完全にトラウマです。
この文章を書いている今でも白目を向いてこぶしを固く握りしめて硬直し、震えているハーチンの姿が脳裏に焼き付いて離れません。
今回は幸いにも事なきを得ましたが、これが
もっと遠方に出かけていたら?
けいれんの症状が長引いていたら?
正しい対処法ができずに最悪の事態に陥っていたら?
僕が不用意に連れ出したことでこの子を死なせてしまっていたら?
そう考えると恐ろしくてたまりません。たまらないのです。
今まで生きてきて僕自身が、僕自身の命が死に直面するという場面は何度か経験しました。
その時はもちろん怖かったです。
恐ろしくて心細くてこの世界が急速に収束していくような、真っ暗な闇の中でとても矮小でちっぽけな自分の命の光がこの宇宙でたった一人で消えていくようなそんな恐ろしさを感じていました。
今回の恐怖はそのときの恐怖とは全く異質のものでした。
この世界でもっとも価値のあるものが自分の目の前で、自分のせいで消えてしまうかもしれない恐怖。
正直、耐えがたいです。
自分自身が「ああ、もうこれで死ぬかもしれない」と思ったとき以上の恐怖を感じました。
「こんなことは大したことじゃないよ」と子育てに慣れた親御さんならそうおっしゃるかもしれませんね。
全くその通りなのかもしれまん。本当に尊敬します。
でも僕にとって今回のようなことは初めてのことだったので激しく恐れおののき、慌てふためきうろたえ狼狽し、今も動揺がおさまりません。
あまりにも混乱しすぎたのか普段なら絶対にしないパズドラ(携帯ゲーム)に課金してしまったほどです。(意味不明ですが)
ハーチンとの別れ
現在のハーチンは熱も下がって元気に回復してお父さんの待つ自宅に無事帰っていきました。
本音をいうとまだまだ心配でたまらないから帰って欲しくなかったのですがそうも言っていられません。
後ろ髪を引かれる思いでハーチンの乗った妹の運転する車を見送りました。
ハーチンが帰った後もひとりで混乱がおさまらない僕は得も言われぬ不安から妹にLINEで何度も「ハーチンは大丈夫か?」と聞いています。
妹は申し訳なさそうに何度も「大丈夫だから、心配かけてごめんね」と返信してくれました。
今回の件はいい教訓になったといえばそうなのかもしれません。
まだしゃべることができない幼い子供を不用意に連れ出すことの危うさ。
公園にいたとき頻繁に抱っこをせがんできたときに異変に気付けなかった自分のふがいなさ。
せめて出かける前に体温のチェックなど事前準備を最低限するべきでした。
でも、もう恐ろしくて当分はハーチンを連れて車で二人で出かけるようなことはしないと思います。
なにはともあれ無事でよかったです。
今この時を元気で居てくれているハーチンにこころから感謝したいです。
この世界のすべての子供たちがすこやかに無事育っていってくれることを願ってやみません。
読んでくださってありがとうございました。